子どもの成績アップや勉強の習慣づけに、塾を検討している人は多いと思います。しかし、子どもの特徴や適性に合った塾を選ばないと、思うように効果が得られません。本記事では、小・中・高ごとの塾選びのポイントや、塾選びに失敗したときの対処方法などを紹介します。子どもに合った塾を選び、成績アップを目指しましょう。
塾選びの決め手・ポイント
塾選びにおいて、まず指導スタイルの違いに注目する必要があります。
個別指導塾と集団塾の2つのタイプがあります。個別指導塾は、生徒1〜6人に対して1人の講師が担当し、生徒の個々のニーズに合わせた丁寧な指導が特徴です。
一方、集団塾は多人数の生徒がひとつの教室で授業を受ける形式であり、自分よりも勉強が得意なライバルを意識しやすく、意欲的に取り組めるとされています。また、個人経営塾と大手学習塾の違いも重要です。
個人経営塾は地域密着型で、特定の学校情報に特化しており、地元の学校の受験対策に強みを持っています。一方、大手学習塾は幅広い情報を持ち、昨今の試験傾向や全国の偏差値の動向などを把握しています。より広い地域の学校や、より上のレベルの学校を目指す場合に適しています。
また、塾の雰囲気や先生との相性も重要です。子どものモチベーションを維持するためにも、実際に通いたいと思える雰囲気かどうか、体験授業を通して確かめることが重要です。
先生やクラスとの相性が合わない場合に、クラスを変更できる制度があるかどうかも確認しておくと安心です。そして、授業料や費用についても注意が必要です。一般的に、個別指導塾の場合は生徒一人あたりの指導が丁寧であるため、授業料が高くなる傾向があります。
また、特別なカリキュラムやテスト対策に別途料金が発生する場合もあるため、全体の費用を事前に確認することが大切です。
学校の授業についていけないと感じたときが塾を検討するサイン
塾を検討するうえでまず大切なのは、子どもが学校の授業を十分に理解し、自力で学習を進められているかどうかを見極めることです。学校の進度や難易度に対して、家庭学習が足りていない、テストの点数が思わしくないといったサインが見られた場合、早めに塾を検討することが重要です。
特に、授業の進みが速く、基礎内容を自分で学ぶ前提の教育環境では、わからない部分が蓄積されやすくなります。定期テストや通知表で目に見える結果として表れた時点で対処しようとしても、すでに遅れが広がってしまっていることもあります。こうした場合には、学校外のサポートによって学習の立て直しを図るのが現実的な選択となります。
実際、多くの家庭では成績の低下をきっかけに塾を探し始めています。勉強のやり方がわからない、自分では勉強時間を確保できないといった悩みも多く聞かれます。子ども本人の意欲や生活リズムに合わせて、定期的な学習機会を提供してくれる塾は、学習の習慣づけにもつながります。
さらに注意すべきなのは、学校の成績が進学に影響するケースです。中学や高校で成績がふるわない場合、希望する進路に進めなくなる可能性も否定できません。こうしたリスクを回避するためにも、早期のサポートが効果的です。
塾選びで確認すべき指導スタイルと学習サポートの質
塾を選ぶうえで重要なのは、単に「集団指導」か「個別指導」かという区分だけでなく、その指導スタイルが子どもに合っているかどうかです。学校の授業内容がすでに難しいと感じているのであれば、新たにインプットを増やすよりも、学んだ内容を定着させる演習中心のサポートが適しています。
集団指導の塾は、一定のペースで授業が進むため、学校と似た形式に慣れている子にとっては取り組みやすい反面、苦手分野の克服や個別の理解度に応じた対応が難しい側面もあります。一方で、個別指導の塾は、生徒の進度や理解度に応じて柔軟に対応しやすく、つまずきやすい単元や弱点を集中的に強化するのに向いています。
ただし個別指導でも、授業時間が短ければ演習が不足し、結果として多くの宿題が課されることがあります。すでに学校から出される課題が多い場合、さらに塾での宿題が加わると、子どもの負担が大きくなり過ぎることも考えられます。塾選びの際には、授業の中でどれだけ演習時間を確保しているか、宿題の量が無理のない範囲に収まっているかをあらかじめ確認しておくことが重要です。
また、教科ごとの特性も意識すべきです。たとえば、英語や理科では知識の暗記が不可欠ですが、継続的に取り組まなければ成果につながりません。数学のように積み上げ型の教科では、過去の単元の理解が不十分なまま次に進むと、授業が急にわからなくなることもあります。そのような場合、塾での学習計画や反復演習によるサポートが、成績改善に直結します。
進学を見据えた学習が必要な場合には、単に学習内容を教えるだけでなく、受験までのスケジュール管理や勉強法の指導も含めたサポートを受けられる塾が望ましいです。志望校と現在の学力の差を埋めるためには、今なにをすべきかを明確にしてもらえる環境が大きな助けとなるでしょう。
このように、塾選びの決め手は「授業スタイル」や「費用の安さ」だけではありません。子どもの現在の学力、学習状況、学校からの課題量、自宅での学習習慣、そして将来の進路など、さまざまな要素を踏まえたうえで、もっとも無理なく、かつ効果的に学びを支えてくれる場所を見極めることが大切です。
小・中・高生ごとの塾の選び方
次に、小・中・高生ごとの塾の選び方を見ていきましょう。
子どもの成長段階ごとに選び方が変わるので、参考にしてください
小学生の塾選び
小学生の塾選びでは、学習の習慣化を目標にしている塾を選びます。
小学生のうちは、勉強が楽しいと感じることが重要であり、問題解決の達成感が学習意欲を高めます。そのためには、学校の授業よりも少し先を習う予習型の授業を行う学習塾がおすすめです。
塾の勉強で学校の授業内容を先に予習しておくと、学校の授業が理解しやすくなり、勉強が楽しくなります。
中学生の塾選び
中学生の塾選びでは、部活や習い事と塾のバランスを考慮する必要があります。
中学生は部活や習い事に忙しくなりがちであり、無理なく通える塾を選ぶ必要があります。また、高校受験対策も重要です。定期テストの点数が内申点に影響するため、定期テスト前に無料の特別授業で対策してくれる塾や、学校に合わせたテスト対策を提供してくれる塾がおすすめです。
高校生の塾選び
高校生の塾選びでは、推薦入試を狙う場合には予習型の塾がおすすめです。
高校生は学習内容が増え授業の難易度も上がるため、学校で行われる授業の理解が重要です。予習型の学習塾では、新学期が始まる前に授業内容を先取りして勉強するので、定期考査の点数をアップさせられます。
塾選びに失敗した時の対処方法
塾選びにおいて失敗したと感じるケースはさまざまです。
たとえば、部活が忙しくなり、塾の授業についていけなくなる、勉強のやる気が低下する、という状況です。また、塾のテストでは点数が取れるのに、学校の成績が上がらない状況や、先生との相性が合わない場合もあります。
わからない点があっても授業が進むので質問しづらい状況も、塾選びに失敗したと感じる要因です。これらの状況に陥っている場合、まずは塾側との面談の機会を設け、環境の見直しを図る必要があります。具体的な打開策として、以下の方法があります。
先生・クラスの変更
まずは、先生やクラスの変更を検討します。
一部の塾では、先生やクラスの変更制度が設けられています。子どもが先生との相性が合わない場合や、クラスのレベルが適切でないと感じる場合は、面談を通じて相談し、子どもにあわせたクラスに変更してもらいます。
個別指導塾への変更
また、集団塾で質問がしにくい状況であれば、個別指導塾への変更も視野に入れます。
集団塾では、質問しにくい状況になりがちですが、個別指導塾では生徒一人ひとりに合わせた指導を受けられます。
とくに進学塾に通っている場合は、実績を出せる上位クラスに優秀な講師が配置される傾向があるため、中位クラスに所属している場合は個別指導塾への移行も選択肢のひとつです。
まとめ
子どもの成績アップや勉強の習慣づけのためには、適切な塾選びが重要です。指導スタイルの違いや塾の雰囲気、授業料などを考慮し、子どもに合った塾の選択がポイントです。小学生は学習習慣を身につけるための塾が適しており、中学生は部活とのバランスや受験対策を重視し、高校生は推薦入試対策や学校の授業内容に合わせた予習型の塾が適しています。また、塾選びに失敗した場合には、先生やクラスの変更や個別指導塾への移行など、適切な対処方法があります。子どもの個性やニーズに合った塾を選び、成績アップや勉強の習慣づけをサポートしましょう。